日本骨代謝学会

The Japanese Society for Bone and Mineral Reserch

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骨代謝とは

歯周病と骨について

1.歯周病とはビタミンD不足は骨折の危険因子

歯周病は様々な要因により引き起こされる歯周組織の疾患です。歯周組織は歯根膜、歯肉および歯槽骨からなる組織で、歯を支えたり(支持)かみ合わせの力(咬合力)を吸収するクッションの役目をしています。これら歯周組織のなかで、歯の維持や機能に最も大切な役割を担うのが歯槽骨すなわち骨です。

歯周病の主な症状は歯肉の腫れや痛みですが、歯周病が進行すると歯を支える骨が吸収されるため、歯を支えることが不可能となり歯を抜く必要が生じます(図参照)。実際、歯周病が原因の抜歯は全抜歯の割合の約3割を占めるといわれています。歯を抜くと食事が食べにくい、話しにくいといった問題点が生じることから、歯周病の予防とその治療は生活の質(QOL)を維持する上で重要な問題です。

2.歯周病に直接関わる骨

前述のとおり、歯を支える組織の主体をなすのが骨であり、歯の周りの骨が無くなるにつれ、歯はグラグラと動き最終的には抜歯をしなければなりません。つまり、骨を維持することは歯を抜くか抜かないかを判断するうえでの最も重要な点であり、かつ最後の砦であると言えます

では、なぜ歯周病では骨の吸収が進行するのでしょうか?詳しいことはまだわかっていませんが、歯周病の原因となる歯垢(プラーク)に含まれる細菌が主な原因であることは確かです。歯周病の原因となる細菌群が直接骨を溶かすのではなく、炎症によりこれら細菌群により産生されるLPSやインターロイキンといった炎症性サイトカインが破骨細胞と呼ばれる細胞を活性化し、骨を溶かすと考えられています。したがって、この破骨細胞による骨吸収の抑制が歯周病予防と治療のための最重要課題となります。

歯周病予防には、プラークや歯石による歯周病原因細菌の除去が最も効果的です。また、現在多くの歯科医師や研究者たちが骨代謝の研究を行い、骨の吸収を抑える薬剤の開発に取り組んでいます。

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