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ASBMR 2025 レポート
石津 帆高(北海道大学大学院医学研究院 整形外科学教室)

紹介演題 [1]
Associations Between Vertebral Fractures and Opportunistic AI-Based Bone Fragility Detection from X-ray Imaging

キーワード

AI解析, 椎体骨折, 骨脆弱性

研究グループ

G. Gattineau et al.
Center of Bone Diseases, Lausanne University Hospital & University of Lausanne, Switzerland

サマリー&コメント

本研究は、X線画像を活用したAI解析ツール「TBS Reveal」による骨脆弱性検出と椎体骨折との関連性を検証した多施設共同研究である。ウィスコンシン大学病院の女性1,001例を対象に、腰椎正面・側面X線およびDXAを実施し、側面X線からGenant分類でGrade 2以上の椎体骨折を判定した。TBS Revealを用いて各椎体の骨脆弱性を推定し、DXA由来のBMDやTBSと比較しつつ、椎体骨折との関連性をロジスティック回帰で解析した。その結果、対象の44%にGrade 2以上の椎体骨折を認め、TBS Revealは「非常に高い骨脆弱性」カテゴリーにおいて有意に椎体骨折と関連していた(p=0.02)。一方、DXAモデルでは有意差は認めなかった。これにより、AIによるX線画像解析が従来のDXA単独よりも骨折リスクの識別に優れている可能性が示唆された。既存のX線データを活用し追加被曝なしに骨脆弱性評価が可能となる点は、骨折予防のスクリーニング戦略として大きな意義を持つだろう。

これまで二次骨折予防や骨質・骨形態計測に携わってきた立場として、AIを用いたX線解析が骨粗鬆症診療に新しい可能性を開く点に強い興味を抱いた。特に在宅や施設などDXAが導入しづらい現場で、こうした手法が今後どのように臨床応用されるかに注目している。

紹介演題 [2]
Development of Idiopathic Osteoarthritis in Aging C57BL/6J Mice

キーワード

加齢, 変形性関節症, マウスモデル

研究グループ

Manuela Oviedo et al.
Mayo Clinic, Rochester MN

サマリー&コメント

本研究は、ヒトに多い特発性変形性関節症(OA)の加齢による発症メカニズムを明らかにするため、高齢C57BL/6Jマウスを用いて病態を縦断的に解析したものである。雄雌マウスを12〜27か月齢で屠殺し、軟骨サンプルを採取。MRIや組織学的評価(サフラニンO染色による軟骨スコア)、RNA発現解析(プロテオグリカン関連分子など)、行動解析(自発運動量・移動距離・平均速度など)を行い、軟骨変性の進行と分子変化、運動機能との関連を包括的に評価した。その結果、雄マウスでは16か月齢以降からプロテオグリカン減少や軟骨の硬化、遺伝子発現変化が顕著となり、OA様変化が明確化した。一方、雌マウスでは同期間において顕著な組織学的悪化は認められず、年齢差や性差が病態進展に影響する可能性が示唆された。さらに行動解析では、老齢雄マウスの活動量がやや低下していたが、雌では顕著な変化はなかった。これらの結果から、C57BL/6Jマウスは特発性OAの加齢モデルとして有用であり、特に雄マウスで早期に予防的介入を開始することが病態抑制につながる可能性が示された。

これまで軟骨下骨や骨リモデリングに焦点を当ててきた立場として、こうした自然発症の老齢OAモデルを用いた包括的なOA解析は非常に興味深い。特に骨と軟骨の相互作用や性差に注目する点は、自身の研究視点を広げるうえでも大きな示唆を与えると感じた。

シアトルのレストランにて、情報交換会の機会を頂きました。
(写真左から北海道大学 横田隼一先生、筆者、大阪大学 蛯名耕介先生、長崎大学 千葉恒先生)

シアトルシーホークス(アメフト)の開幕戦、大盛り上がりでした。