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ANZBMS 2026 レポート
中村 光希(東京理科大学 薬学研究科)

紹介演題 [1]
Plasma Membrane-Endoplasmic Reticulum Tethering Drives Mechanotransduction in Bone and Tendon Cells.

キーワード

mechanotransduction, membrane tension, ER stress

研究グループ

Ming-Hao Zheng’s group, The University of Western Australia

サマリー

筆者らは、腱細胞に周期的なmechanical strainを与え、その外力が細胞内小器官へどのように伝達されるかを解析しました。反復伸展によってplasma membrane(PM)とERの膜張力が上昇した一方、ミトコンドリアやリソソームの膜張力には同様の変化を認めませんでした。PMからERへの力の伝達にはPM–ER contact siteのtethering machineryが関与し、特にSTIM1の減少によってER tensionの上昇が抑制されました。また、適度なmechanical strainではER tension上昇は適応的な応答として生じる一方、過剰なstrainではERが拡張し、ER sheet構造の増加とXBP1 splicingを伴うER stress応答が誘導されました。さらにER tensionの変化はER–mitochondria contactにも影響し、ミトコンドリア機能および細胞内エネルギー代謝の変化と関連しました。

コメント

オルガネラの中で、ERは外力の影響を受けやすいという知見が、まず自分には新鮮でした。さらに、ERでの表現型にとどまらず、そこからMERCSに着目してミトコンドリアの機能への影響を示した流れも、ERについて研究する上で重要な考え方だと感じました。私の研究でも、UPRを介する影響からこういったオルガネラ同士の連関につなげることができれば興味深いと考えます。

紹介演題 [2]
Repurposing FDA-Approved Drugs Targeting OXR1 to Suppress Osteoclastogenesis and Prevent Bone Loss

キーワード

osteoclast, mitophagy, ubiquitination

研究グループ

Kai K.C. Chen‘s group, University of Western Australia

サマリー

Chenらのグループは、OXR1は破骨細胞分化に伴って上昇することを公開データセットから示唆し、実際にこれが破骨細胞分化・骨吸収に必要な因子であるとin vitroで同定しました。また、そのメカニズムにマイトファジーを介したミトコンドリアクリアランスが重要であると示したうえで、より詳細に、OXR1がKEAP1との相互作用を介したユビキチン化制御によってこの表現型を呈するという詳細な分子メカニズムを明らかにしました。さらに、myeloid specific OXR1 cKOマウスにおいて、骨量がWTと比べて上昇することを示し、OXR1の骨における重要性をin vivoでも裏付けました。最後に、FDA承認薬のライブラリーからOXR1阻害剤候補の同定し、実際にその化合物がOVXマウスの骨量減少を緩和することを示しました。

コメント

目的タンパク質の設定からの筋の通った構成と、治療の可能性までカバーした充実したストーリーがとても興味部深かったです。また、分子メカニズムの解析では、単純なIPだけでなく、SPRなどの生化学的手法や計算的手法によって詳細に相互作用を示していました。このような解析は、この化合物をベースにした構造展開などの今後の治療薬開発などに対して重要な基盤を作る丁寧かつ重要なアプローチで、非常に勉強になりました。