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ANZBMS 2026 レポート
松林 慧隼(立命館大学大学院食マネジメント研究科)

紹介演題 [1]
Mfsd12 deficiency in mice causes bone loss and a multisystem lysosomal storage disorder

キーワード

破骨細胞、リソソーム、システイン

研究グループ

Jascreen Kular et al. School of Biomedical Sciences, University of Western Australia, Crawley, WESTERN AUSTRALIA, Australia

サマリー

本研究はプロテオーム解析を用いて破骨細胞の分泌性リソソームの分子構成を解析し、リソソーム局在性輸送体であるmajor facilitator superfamily domain containing 12 (MFSD12)が、破骨細胞や骨の恒常性に果たす役割について検討した。

MFSD12は膜貫通型タンパク質であり、システインのリソソーム内への輸送に関与すると考えられている。本研究では、MFSD12を欠損させたノックアウトマウス(Mfsd12KO)を作出し、15週齢で解析を行った。マイクロCT解析より、このMfsd12KOマウスの骨量は低下しており、骨粗鬆症に類似する表現型が認められた。さらにMfsd12KOマウスの内臓を観察した結果、腎臓の縮小・色調の低下に加え、腎結石も認められた。また、肝臓は大きく肥大していた。超微細構造解析では形態が著しく変化したリソソームが認められ、その一部には結晶を含むものも確認された。これらは顕著なリソソーム蓄積症であると示された。これらの結果から、MFSD12の欠損は、骨の恒常性に影響を及ぼすだけではなく、腎臓や肝臓にも異常を引き起こし、正常なリソソーム機能の破綻に関与する可能性が示唆された。つまり、MFSD12がリソソーム機能を正常に維持するうえで不可欠な因子であることを示した。

コメント

破骨細胞に発現する輸送体であるMFSD12が単にシステインを輸送するだけでなく、骨量の維持や骨恒常性に重要な役割を持つ可能性があることに加え、リソソームの機能を正常に維持する点や臓器の機能にも影響を及ぼしている点が興味深いと感じました。

紹介演題 [2]
ACC1-mediated mitochondrial fatty acid synthesis (mtFAS) governs osteoclast activation and bone loss

キーワード

ACC1、破骨細胞、脂肪酸合成

研究グループ

Zhongxiang Wang et al. School of Biomedical Sciences, The University of Western Australia, Perth, WA, Australia

サマリー

本研究は新規脂肪酸合成(DNL)の律速酵素であるアセチルCoAカルボキシラーゼ 1(ACC1)が、破骨細胞の分化と機能に果たす役割を明らかにし、病的な骨量低下に対する治療標的としての可能性を評価することを目的としている。破骨細胞の分化と骨吸収には、広範囲にわたる細胞膜の再構築と高い代謝活性が必要とされる。

DNL阻害剤を用いたスクリーニングの結果、ACC1の阻害はin vitroで破骨細胞の分化と骨吸収を抑制するうえで有効であったが、骨芽細胞の分化には影響しなかった。この結果と一致して、ACC1阻害剤を投与するとin vivoの卵巣摘出による骨量の減少を破骨細胞の活性を低下させることで軽減した。また、骨髄特異的にAcaca遺伝子を欠損させたマウスにおいて、破骨細胞の活性低下と骨量の増加が認められた。さらにACC1の欠損によって生じる破骨細胞の機能低下はオレイン酸やパルミチン酸などの脂肪酸を補充しても回復しなかったが、ミトコンドリア脂肪酸合成の基質であるマロン酸を添加することで回復した。

以上の結果から、ACC1はミトコンドリア脂肪酸合成を支えることで、破骨細胞の分化と機能の維持に重要な役割を果たすことが示された。

コメント

ACC1が通常の脂肪酸合成だけでなく、ミトコンドリア脂肪酸合成を通じて破骨細胞の機能を支える可能性があるという点が興味深いと感じました。また、ACC1を阻害することで骨芽細胞の分化には影響を及ぼさずに、破骨細胞の分化と骨吸収を抑制する点も興味深いと感じました。

会場近くのスカイタワー。高さ328m。

オークランド博物館。第二次世界大戦についての展示もあり、戦時中の日本を客観的に見ることができ勉強になりました。