肥満およびアルツハイマー病モデルにおける抗FSH抗体の有効性と安全性
Efficacy and safety of a therapeutic humanized FSH-blocking antibody in obesity and Alzheimer’s disease models
| 著者: | Pallapati AR, Korkmaz F, Rojelar S, et al |
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| 雑誌: | J Clin Invest. 2025; 135: e182702. |
- FSH
- 肥満
- アルツハイマー病
論文サマリー
卵胞刺激ホルモン(FSH)は、本来卵巣や精巣を刺激する下垂体ホルモンであるが、筆者らの研究グループは、FSHの上昇が骨量減少や脂肪増加、認知機能低下に関与していることを報告してきた。今回筆者らは、ヒト化抗FSH抗体であるMS-Hu6を開発し、閉経後女性におけるFSHの上昇に起因すると考えられる骨粗鬆症、肥満、アルツハイマー病に対する治療薬候補となるか検討した。まず、MS-Hu6の結晶構造解析から、FSHとの相互作用を明らかとした上で、超高濃度製剤化し、マウスにおいて半減期や組織保持性が検証された。次いで、雌マウスにマウス用抗体であるHf2を投与すると、FSH濃度の低下が認められ、用量依存的に体重および体脂肪量が減少した。さらに、アルツハイマー病のモデルマウスにおいて、物体認識記憶や空間学習能力の改善が認められた。最後に、ヒト化抗体であるMS-Hu6のアフリカミドリザルへの投与実験も行われ、本抗体の安全性が確認された。本研究により、MS-Hu6が治療薬として第Ⅰ相臨床試験に進める段階となったことが示された。
推薦者コメント
閉経後骨粗鬆症は、エストロゲンの低下が原因と考えられているが、閉経後に上昇するFSHの関与が報告されている。本論文のlast authorのMone Zaidi先生は、2024年に高柳先生が大会長を務められた第42回の学術集会で、オープニングレクチャーをいただいたことが記憶に新しい。閉経後女性における骨粗鬆症、肥満、認知症を同時に予防可能な治療法となることが期待される。ヒトにおいて、マウス同様の効果が示されるか、進捗が待たれる。
髙士 祐一(福岡大学医学部内分泌・糖尿病内科学講座)
(2026年7月15日)



