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マルトールは骨リモデリングを破綻させ、糖尿病における脆弱性骨折を誘発する

Maltol induces diabetic fragility fractures by disrupting the balance of bone remodeling
著者: Wang J, Wang Z, Feng J, et al
雑誌: Cell Metab. 2026; 38: 1187-1200.
  • マルトール
  • 2型糖尿病
  • 脆弱性骨折

論文サマリー

2型糖尿病では、脆弱性骨折のリスクが上昇することが知られているが、その要因については必ずしも明らかではない。本研究では、食品添加物として広く用いられているマルトールが、高血糖に関連した骨脆弱性のリスク因子であることが明らかとなった。筆者らは、2型糖尿病患者において脆弱性骨折を呈した大腿骨頚部の骨組織を用いて、メタボローム解析を施行したところ、2型糖尿病患者において骨へのマルトールの蓄積が認められた。さらに、血中マルトール濃度の上昇は、骨折の発生率の増加と有意に関連していた。機序として、マルトールは、Wnt/β-カテニンシグナルを介して骨芽細胞の分化を抑制する一方、NF-κBシグナルを介して破骨細胞の成熟を促進し、骨リモデリングの破綻を惹起していた。興味深いことに、この作用は、高血糖環境下で増強され、マウスモデルにおいてインスリン投与により血糖値を改善すると、マルトールによる骨格障害は軽減された。

推薦者コメント

食品添加物は加工食品に多く含まれることから、現代人においては過剰摂取していることが示唆される。加工食品は摂取の手軽さから、将来的に摂取量が増加する推計もある。マルトールの骨への作用が、なぜ高血糖環境下で増強されるのかについては、今後の課題である。本研究の結果からは、食品添加物の安全性評価においては、健常人のデータのみならず、疾患毎の背景を考慮する必要性が出てきていると言える。

髙士 祐一(福岡大学医学部内分泌・糖尿病内科学講座)

(2026年7月15日)