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線維芽細胞と免疫細胞の動的な相互作用が、脳損傷後の修復過程を制御する

Dynamic fibroblast–immune interactions shape recovery after brain injury.
著者: Ewing-Crystal NA, Mroz NM, Larpthaveesarp A et al
雑誌: Nature 2025; 646: 934
  • 脳損傷モデル
  • 線維芽細胞
  • 免疫細胞

論文サマリー

脳の損傷後の治癒過程における線維芽細胞と免疫細胞の協調的な働きに関して明らかにした論文である。著者らはマウスとマーモセットにおける脳損傷モデルを作成し、シングルセル解析と空間トランスクリプトームを駆使して、修復部位に損傷反応性の線維芽細胞や、ミクログリアおよび単球由来のマクロファージが集積することを見出した。急性炎症期においては、線維芽細胞は損傷部位でミクログリアやマクロファージからTGFシグナルを受けて筋線維芽細胞となり、細胞外基質を産生して損傷部の保護に寄与していた。このTGFを介したクロストークを阻害すると、病変部の拡大が認められた。さらに、筋線維芽細胞の一部はリンパ球相互作用型線維芽細胞にも成熟し、CXCL12等を産生することで、T細胞をリクルートおよび制御していた。この機能が阻害されると、慢性期の炎症やIFNの産生が増加した。修復過程において、時空間的に変動する線維芽細胞と炎症細胞の相互作用が大切であることが示された。

推薦者コメント

近年、全身の多様な臓器において、組織修復過程に出現する線維芽細胞と免疫細胞の相互作用が注目されている。本研究は、脳神経組織において、複数の遺伝子マウスとトランスクリプトームを駆使して、組織修復過程を制御する細胞社会を俯瞰的に理解し、その重要性を示した重要な報告である。

吉本 由紀(東京科学大学 大学院医歯学総合研究科 分子発生・口腔組織学分野)

(2026年7月15日)