骨形成不全症 V型のIFITM5バリアントはERK/SOX9経路を介して骨・軟骨前駆細胞の分化異常を引き起こす
| 著者: | Marom R,Song IW,Busse EC,et al |
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| 雑誌: | J Clin Invest. 2024;134(15):e170369. |
- 骨形成不全症
- IFITM5
- ERK
- Sox9
論文サマリー
骨形成不全症(osteogenesis imperfecta: OI)V型は、骨脆弱性に加え、過形成仮骨形成や骨間膜石灰化を特徴とする病型であり、IFITM5遺伝子5′UTRの反復性バリアント c.-14C>T により生じる。本研究では、同バリアントの病態機序を明らかにするため、変化型Ifitm5を条件付きで発現可能なマウスモデルを作製し、発現する細胞系列ごとの表現型を比較した。その結果、変化型Ifitm5をPrx1-Creを用いて骨・軟骨前駆細胞に発現させた場合、およびAcan-CreERT2を用いて軟骨細胞系列に発現させた場合に、低骨量、成長障害、成長板構造異常、軟骨過形成が認められた。一方、成熟骨芽細胞に近い段階で同バリアントを発現させても明らかな骨格異常は乏しかった。さらに、変化型Ifitm5はERKシグナルの活性化とSOX9蛋白の増加を伴い、軟骨細胞から骨芽細胞への分化・移行を障害していた。ERK阻害やSox9抑制により表現型が部分的に改善したことから、OI V型では、成熟骨芽細胞そのものの異常というよりも、ERK/SOX9経路を介した骨・軟骨前駆細胞の分化異常が病態形成に重要であることが示された。
推薦者コメント
OI V型はこれまで「骨の脆弱性」を中心に理解されることが多かったが、本研究はその病態の本質が、骨芽細胞のみならず骨・軟骨前駆細胞の分化制御異常にある可能性を示した点で興味深い。特に、成熟骨芽細胞での変化型Ifitm5発現では表現型が乏しい一方、前駆細胞あるいは軟骨細胞系列での変化型Ifitm5発現により成長板異常や軟骨過形成が再現されたことは、OI V型を一種のosteochondrodysplasiaとして捉え直す視点を与える。また、ERK/SOX9経路の関与が示されたことは、今後の分子病態解明や治療標的探索の足がかりになると考えられる。
木村 聡一郎(東京大学医学部附属病院 腎臓・内分泌内科)
伊東 伸朗(東京大学大学院医学系研究科 難治性骨疾患治療開発講座)
(2026年7月15日)



