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卵黄嚢由来骨髄系細胞は、胎児期骨髄および肝臓における造血を異なる様式で制御する

Differential regulation of fetal bone marrow and liver hematopoiesis by yolk-sac-derived myeloid cells.
著者: Weinhaus B, Homan S, Kincaid M, et al
雑誌: Nat Commun. 2025; 16:4427
  • 卵黄嚢
  • VCAM1
  • 微小環境

論文サマリー

哺乳類において造血の場は、発生に伴い卵黄嚢から肝臓、そして骨髄へと移行するが、胎児期における造血幹・前駆細胞(HSPC)の骨髄定着を規定する微小環境は不明であった。著者らは胎児骨髄の共焦点イメージングと遺伝学的解析により、骨幹部中央に存在するVCAM1陽性の類洞内皮がHSPCおよび骨髄系細胞の定着を担うことを明らかにした。卵黄嚢由来の骨髄系細胞を除去すると、当該内皮のVCAM1発現と血管成長が低下し、骨髄へのHSPCや好中球の定着が著減した。一方、同操作は破骨細胞活性とは独立に胎児肝でのHSPCおよび赤血球造血を亢進させた。以上より、卵黄嚢由来骨髄系細胞は、骨髄ではVCAM1高発現内皮の形成を介してHSPCの定着を促すことで造血を促進する一方、肝臓では造血を抑制するという臓器特異的かつ相反する制御を担うことが示された。

推薦者コメント

本研究は、胎児骨髄においてVCAM1高発現洞様内皮がHSPCの定着ニッチを形成し、その形成に卵黄嚢由来骨髄系細胞が不可欠であることを示した。すでに発生期に骨形成を担うE型内皮の存在が知られている一方で、VCAM1高発現内皮がHSPCの受け入れを担うことを明らかにした点は、成獣期同様に発生期血管においても内皮の機能に多様性があることを裏づけるものである。

同志社大学大学院生命医科学研究科医生命システム専攻・亘 優、西川 恵三

(2025年10月30日)