The Japanese Society for Bone and Mineral Reserch

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マウスにおける歯髄再血管化後のGli1発現細胞の局在および新たに形成された石灰化組織への関与

Localization of Gli1-expressing cells after pulp revascularization and their involvement in newly formed mineralized tissue in mice
著者: Tashiro K, Ikarashi T, Haketa M, Mitomo K, Mizoguchi T, Yamaguchi A, Muramatsu T.
雑誌: Scientific Reports
  • Gli1
  • Osterix
  • ATP

学位記授与時の写真。左が著者、右が村松教授です。

論文サマリー

近年、歯根未完成の失活歯に対する新たな治療法として、歯髄血管再生療法(pulp revascularization)が行われているが、その治癒機転の詳細はいまだ明らかではない。我々は歯髄血管再生療法のマウスモデルの作製に成功し、治癒過程を検討してきたが、本研究では遺伝子改変マウスを用いてGlioma-associated oncogene homolog 1(Gli1)発現細胞の局在を細胞系譜解析により明らかにし、これらの細胞の新生硬組織形成への寄与について検討した。5週齢のGli1-CreERT2-Tomatoマウスの上顎右側第一臼歯に対して歯髄血管再生療法を行い、術後1時間および3、7、14、21日に上顎骨を採取した後に、抗osterix抗体を用いた蛍光免疫染色を行った。

図1には術後の経時的な上顎右側第一臼歯の近心根およびその拡大像を示す。赤はGli1、緑はosterix、青はHoechstである。術後1時間では、根尖周囲にGli1発現細胞を認めたものの(図1a, b 矢頭)、根管内には細胞成分をほとんど認めなかった。術後3日では、根尖周囲組織および根管上部でGli1発現細胞の割合が有意に増加し、その一部はosterixと共陽性であった(図1c, d 矢頭)。術後7日では、根管上部における割合が有意に増加し、引き続き一部がosterixと共陽性であった(図1e, f 矢頭)。術後14日(図1g, h)および21日(図1i, j)では、新生硬組織の形成が認められ(図1h, j アスタリスク)、その周囲にはGli1発現細胞が局在していた(図1h, j 矢頭)。根管内は狭窄したが、根尖周囲との連続性は維持されていた。


図1

以上の結果より、根尖周囲組織由来のGli1発現細胞は根尖孔から根管内へ侵入し、セメント質様の新生硬組織形成に寄与することが示唆された。本研究のまとめを図2に示す。


図2

著者コメント

本研究は、治癒過程の詳細が未解明である歯髄血管再生療法において、マウスモデルを用いた細胞系譜解析により、Gli1発現細胞の関与を明らかにしたものです。遺伝子改変マウスが全く産まれず論文完成が危ぶまれた時期もありましたが、飼育方法を工夫することで、何とか研究を完遂することができました。本研究の遂行にあたり、多大なるご指導とご鞭撻を賜りました東京歯科大学保存修復学講座の村松敬教授に、深く感謝申し上げます。

また、本研究に際し、口腔科学研究センターの溝口利英教授をはじめ、ご助言とご支援、ご協力を賜りました諸先生方および関係各位に、厚く御礼申し上げます。

田代 憲太朗(東京歯科大学保存修復学講座)

2026年6月30日