筋損傷時に起こる異所性石灰化に、新規マクロファージとBMPシグナルが関与する
| 著者: | Linan Shi, Zhifeng He, Toru Hiraga, Ziyang Liu, Teruhito Yamashita, Rina Iwamoto, Toshihide Mizoguchi, Yuko Nakamichi, Yoshiaki Kubota, Nobuyuki Udagawa, Yasuhiro Kobayashi |
|---|---|
| 雑誌: | iScience 28, 112841, 2025 DOI: doi.org/10.1016/j.isci.2025.112841 |
- 筋損傷
- 異所性石灰化
- マクロファージ

アテネにて。左側奥)第1著者 石莉楠、左手前)第2著者 何次鋒
論文サマリー
異所性石灰化は、さまざまな組織で生じる異常な再生応答であり、その分子機構は未だ十分に解明されていません。本研究では、クロドロネートリポソーム、Csf1r中和抗体、ならびにマクロファージ特異的なCsf1r遺伝子欠損(Csf1r cKO)という3種類のマクロファージ除去法を比較することで、F4/80(+)Csf1r(–)マクロファージが、notexin注入マウスおよびBaCl₂注入Csf1r cKOマウスの石灰化した筋組織で特異的に増加していることを見出しました。この過程に骨形成因子(BMP)シグナルが異所性石灰化に関与していることが示されました。さらに、公的なシングルセルRNAシーケンスデータの再解析およびCdh5creERT2マウスを用いた系譜追跡解析により、内皮から間葉系への移行(EndoMT)が異所性石灰化の主要な原因であることが明らかとなりました。注目すべきことに、BMP阻害剤の投与により石灰化が抑制され、筋再生が促進されました。これらの結果から、F4/80(+)Csf1r(–)マクロファージおよびBMPシグナルは、異所性石灰化の予防に対する有望な治療標的となることが示唆されます(図1)。

著者コメント
マクロファージは、さまざまな組織の再生において重要な役割を果たします。本研究では、F4/80(+)Csf1r(+)マクロファージが筋再生を促進することを明らかにしただけでなく、F4/80(+)Csf1r(–)マクロファージが活性化されたBMPシグナルと協調してEndoMTを誘導し、異所性石灰化を促進することも見出しました。この発見は、異所性石灰化の臨床的制御に対する新たな治療戦略を提供するものです。今後は、F4/80(+)Csf1r(–)マクロファージを特異的に除去し、筋損傷後にこれらのマクロファージが異所性石灰化を誘導する分子メカニズムを明らかにする予定です。
石 莉楠(大学院歯学独立研究科 硬組織疾患制御再再建学)
2026年6月30日



