日本骨代謝学会とは?
理事長挨拶

この度、日本骨代謝学会の理事長を拝命いたしました、東京大学の高柳でございます。日本骨代謝学会は、骨・軟骨や歯などの硬組織、その成分であるカルシウムやリンなどの代謝に関わる研究を行うことで、社会・人類の福祉に貢献することを目的としており、50年以上にわたり活発に活動してきました。主な活動は、学術集会の開催、機関紙・図書の発行、国際連携、顕彰、啓発活動です。歴史と業績のある本学会の理事長に選ばれたことは、骨研究に携わってきたものとして、非常に光栄なことであり、心より感謝申し上げます。信任に応えられるよう最大限努力していく所存でおりますので、会員の皆様のご支援ご鞭撻を何卒よろしくお願い申し上げます。
本学会は、現在では硬組織やミネラル研究だけでなく、骨を動かす筋肉や靭帯・腱、関節など、運動器全体を対象にして研究が進められています。また、骨は単なる運動器の一部ではなく、外界の環境変動やストレスを感受し、他の生体系と協調したり能動的に制御し、オステオネットワークを形成しているという概念も発展しました。古くから研究されてきた内分泌系のみならず、免疫系、神経系などあらゆる生体制御系との相互作用や遠隔臓器への影響まで視野に入れた研究が必要になってきました。臨床的には、先天性疾患から加齢性疾患、変性疾患、腫瘍性疾患、口腔疾患など多彩な疾患が研究対象となっています。骨粗鬆症、サルコペニア、ミネラル代謝異常、内分泌疾患、原発性・転移性骨腫瘍、変形性関節症、関節リウマチなど、関連する臨床科も内科、小児科、整形外科、産婦人科、歯科に限らず非常に多様な分野にわたるため、学会員も極めて学際的な構成になっています。
本学会は、多くのすぐれた基礎的な業績を生み出しただけでなく、日本骨粗鬆症学会や日本骨形態計測学会、日本内分泌学会などとの協力のもと、骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン、原発性骨粗鬆症の診断基準、ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療ガイドライン、椎体骨折評価基準、骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の病態と管理、ビタミンD不足・欠乏の判定指針、くる病・骨軟化症診断マニュアルなどを作成し、診療の進歩に貢献してきました。
本学会のOfficial JournalであるJournal of Bone and Mineral Metabolism(JBMM)は、1983年に創刊され、骨代謝領域の有力な英文誌として発展し、近年では日本骨粗鬆症学会および日本骨形態計測学会のOfficial Journalにもなりました。現在では、硬組織・ミネラル代謝に限らず、運動器や関連する領域の基礎から臨床までを幅広く扱い世界的に高く評価されています。
本学会は、International Federation of Musculoskeletal Research Societies (IFMRS)の構成学会として、世界の骨・ミネラル代謝・運動器の研究の進展に貢献しています。また、以下の学会と相互に連携・協力しています。
- American Society for Bone and Mineral Research(ASBMR)
- Australian & New Zealand Bone and Mineral Society(ANZBMS)
- Chinese Society of Osteoporosis and Bone Mineral Research(CSOBMR)
- European Calcified Tissue Society(ECTS)
- Korean Society for Bone and Mineral Research(KSBMR)
私は初めて行った実験は、破骨細胞の培養系で、最初に参加した基礎系の学会は日本骨代謝学会でした。何を聞いてもメモをとって抄録集がびっしりになったのを覚えています。それから、25年もの長い期間にわたり学会の先生方や仲間に育てられて公私ともにご指導をいただき今までやってこれたという思いが強くあります。日本骨代謝学会を今後さらに発展させていくためには、若手研究者がこの領域で活躍し、将来に夢を見ることができるような分野に育てることが急務と考えています。すでに若手委員会や若手を対象としたスクールやグラントなどが充実しておりますが、今後、さらに会員を増やし、若手会員が活躍できる枠組みを検討するために、新たに学会に将来構想委員会を設置し、過去の考えにとらわれずに新しい試みにも挑戦していけるように改革ができればと考えております。また、本学会を支援してくださる企業からの意見も取り入れて、学会運営を活性化し、創薬など基礎研究の社会実装に向けた方向性も強化することが重要であると感じております。
本学会の伝統を継承し、さらに学会の価値を高め進化させるよう会員の皆様の声に耳を傾けていく所存ですので、是非さまざまなご意見をお寄せいただけますようお願い申し上げます。
日本骨代謝学会理事長 高柳 広
(東京大学大学院医学系研究科免疫学 教授)
学会概要
1982年(昭和57年)、第16回日本骨代謝研究会で、これまで続けてきた研究会を発展的に改称して、日本骨代謝学会となった。
第1回日本骨代謝学会は1983年7月29日~30日東京大学・細谷憲政教授の主催で開催された。
本学会は内科系、基礎系、外科系の研究者が集う学際的学会で、現在1,995名の会員を擁し活発な活動を行っている。
名 称 | 一般社団法人日本骨代謝学会 (The Japanese Society for Bone and Mineral Research) |
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設 立 | 1967年(昭和42年)第1回日本骨代謝研究会 1982年(昭和57年)第16回日本骨代謝研究会 1983年(昭和58年)第1回日本骨代謝学会 |
理事長 | 高柳 広(東京大学大学院医学系研究科免疫学) |
歴代理事長 | 歴代理事長一覧 |
会員数 | 1,834名(2023年3月現在)(うち評議員146名 評議員一覧) |
事業内容 |
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定款 | 日本骨代謝学会定款 |
賛助会員 | 賛助会員一覧(関連リンク) |
事務局 (JBMM編集事務局) |
〒612-8082 京都市伏見区両替町2-348-302 アカデミック・スクエア内 TEL:075-468-8772 FAX:075-468-8773 E-mail: jsbmr@ac-square.co.jp JBMM投稿に関する問い合わせ: jbmm@ac-square.co.jp JBMMへの投稿は下記よりオンラインにて受付しております。 JBMM投稿受付URL |
理事会

理事長
高柳 広
東京大学大学院医学系研究科免疫学

副理事長
宮本 健史
熊本大学大学院生命科学研究部整形外科学講座

理事(学術)
網塚 憲生
北海道大学大学院歯学研究科口腔健康科学講座硬組織微細構造学教室

理事(学術)
小川 純人
東京大学大学院医学系研究科加齢医学講座

理事(学会誌)
井上 大輔
帝京大学ちば総合医療センター第三内科

理事(広報)
小林 泰浩
松本歯科大学総合歯科医学研究所硬組織解析学

理事(財務)
斎藤 充
東京慈恵会医科大学整形外科

理事(財務)
道上 敏美
大阪母子医療センター研究所骨発育疾患研究部門

理事(渉外)
今井 祐記
愛媛大学プロテオサイエンスセンター病態生理解析部門

理事(渉外)
遠藤 逸朗
徳島大学大学院医歯薬学研究部血液・内分泌代謝内科学

理事(庶務)
妻木 範行
大阪大学大学院医学系研究科生化学・分子生物学講座

理事(庶務)
宮腰 尚久
秋田大学大学院整形外科学

監事
田中 栄
東京大学大学院医学系研究科整形外科学

監事
福本 誠二
たまき青空病院
(2023.9.1 現在)